2007年10月11日木曜日

塗料としての柿渋

 植物は虫などの外敵から植物自身の身を守るためにタンニンを持っています。その中でも柿には高分子の特殊なタンニンが含まれており、その柿を絞った液を発酵させたのが柿渋です。柿渋には防虫、防腐、抗菌等の作用があるといわれています。それに加え、塗って乾くと皮膜を作り耐水性が出ます。昔から地元の農家では自然の塗料としてよく使われてきました。建築の分野でも、シックハウスの問題が出てきてから人の健康にも環境にも優しい塗料として良く使われるようになりました。ただ、柿渋は塗ったすぐには色があまり出ず、時間がたつのとともに濃くなっていくので色を定めるには難しいのですが、自然の趣のある色は化学塗料では出せないものでもあります。取扱も簡単で使った刷毛などの道具は水で洗い流せます。化学塗料のようにシンナーなどは必要ありません。毎年、秋の彼岸のころ、柿渋絞りが行われます。昔はそれぞれの農家が自家で使用するために絞っていました。化学塗料などが出回ったおかげで、今ではほんの数えるほどの農家でしか生産をしなくなりました。私が住んでいる宇治田原町でも何軒もあった生産者が森口半一さん一軒だけになってしまいました。生産者がなくなれば柿渋の関わる文化もなくなります。なんとか絶やさないためにももっと柿渋を使ってもらえるよう広めていきたいと考えております。

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